特別展

“鉄砲堰ってなんだ” その後

 さいたま川の博物館では、大自然の中で川の地形と水の力を巧みに利用した先人の知恵の一つを紹介するために、平成10年3月28日から5月5日まで、特別展鉄砲堰ってなんだ〜かつて荒川に木組みのダムがあった〜を企画し、山奥からの木材搬出法である鉄砲堰のルーツとその伝播経路、木材流送技術等について紹介しました。
 特別展の内容はやや専門的でしたが、林業関係者や河川史・林政史研究者等から多くの反響があり、さまざまな情報が寄せられました。
 そこで、特別展は終了しましたが、各地から寄せられた貴重な鉄砲堰の情報を紹介し、特別展の補足とする次第です。

    写真@ ビリベツ川本流に築かれた秋田式鉄砲堰
    (昭和25年4月撮影)。1日に2回程放水したという。
    写真A ビリベツ川本流に築かれた秋田式鉄砲堰
    (昭和25年4月撮影)。放水口の板を止めておく大坊主と
    呼ぶ木材が2本造られている。
    写真B ホロカビリベツ川に築かれた秋田式鉄砲堰
    (昭和25年4月撮影)。放水した瞬間約五秒後の写真という。

1.中津川の人々が伝えた鉄砲堰
 埼玉県大滝村中津川の鉄砲堰は、静岡県大井川で働く流送技術者によって大正時代から昭和初期に伝えられました。
 鉄砲堰の形には、“秋田式”と“越中式”がありますが、中津川に伝えられる過程で、二つの要素が混合し、中津川型とも呼べる改良型が考案されました。この鉄砲堰と技術は、中津川の人々によって埼玉県神泉村や群馬県上野村に昭和20年代に伝えられました。
 神泉村阿久原の福島久さん(昭和9年生)は、昭和20年代後半の若衆の頃に利根川水系の神流川上流で鉄砲堰を組み、木材を流送したといいます。その技術は中津川の人々から伝授されたものといいます。
 中津川の人々は昭和20年代後半まで神泉村や群馬県上野村で、中津川型の秋田式や越中式の鉄砲堰を築き、木材を神流川本流に流送していたといいます。

2.北海道から鉄砲堰の便り
 平成10年4月7日付けで、北海道の新聞社・苫小牧民報社編集局の新沼友啓記者から鉄砲堰の写真をいただきました。
 写真は北海道町を流れる十勝川水系ビリベツ川(美里別川)本流及び支流のホロカビリベツ川の鉄砲堰写真や木材流送写真です。この写真によると鉄砲堰の木材の組み方は、秋田式のものが築かれています。
 ことの経緯は当館職員が北海道の鵡川の鉄砲堰が掲載されている『清流鵡川』(1997年苫小牧民報社発行)を求めたことに始まります。
 新沼さんは7、8年前から北海道鵡川の原木流送について調査を進め、北海道開拓と木材伐採の歴史を記事にまとめたといいます。その過程で鉄砲堰について調査を進め、当館の特別展の内容を記事にしたのです。
 鵡川やビリベツ川流域の木材流送は、大正時代から昭和40年代始めまで盛んであったといい、流送技術者は、富山県庄川町周辺の人々が多かったといいます。なかには北海道に永住して働いた人、樺太(サハリン)や朝鮮民主主義共和国と中国の国境を流れる鴨緑江まで出稼ぎに行った人もいました(『鵡川清流』による)。


3.サハリンにも伝えられた鉄砲堰の記録

    写真C サハリンの川(旧名“古丹岸川”)に築かれた鉄砲堰。
    木材の組み方は秋田式であるが、放水口の開け方は越中式であり、
    改良型と考えられる。
 『樺太写真帖』(昭和35年5月発行)は、昭和9年2月発行の『樺太郷土写真帖』の復刻版です。戦前までサハリン(樺太)で生活していた上尾市中分在住の石川矢(昭和9年生)さん所有の資料です。この写真集は樺太で生を受けた人々が故郷を偲んで復刻したもので、この中に鉄砲堰が掲載されていました。
 この写真によりますと、鉄砲堰は木材を縦にな らべて築いているので秋田式と思われます。しかし、放水口を開く構造は水を止めている板が上からくずれる越中式のようです。この鉄砲堰も改良型と思われます。写真の解説にはテッポー流し(越中堤ともいう)とありました。静岡県大井川流域を中心に“越中さん”と呼ばれて活躍していた流送技術者が伝えたものと思われます。
 

(丘)


プレイリーダー紹介 U

当館のプレイリーダーは総合案内、第1展示室、アドベンチャーシアター、荒川わくわくランドなどいろいろなところで活躍しています。一言インタビューをしてみました。


朝比奈 愛(埼玉県出身)
 さまざまなお客様とふれあうことができるこの仕事は、毎日がとても楽しいです。ひとりでも多くのお客様の笑顔が見ることができるようがんばります。

小林 利恵子(埼玉県出身)
 私はこの博物館で川について色々なことを知りました。これからはたくさんの人達に知ってもらいたいです。

細渕 寿絵(群馬県出身)
 川の情報がたくさんつまっている「かわはく」は、まさにウォーターランド。たくさんのお客様に楽しんでいただけるように頑張ります。

盛合 あかね(神奈川県出身)
 来館されたお客様が「今日は楽しかったね」と家に帰ってから話してくれるような素敵な時間を過ごせるように接していきたい。

富岡 尚美(埼玉県出身)
 水を大切にしよう!川を身近に感じながら生きていこうと思いました。

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